農水省は25日、福島県産農産物等流通実態調査結果を公表した。同調査は、福島県産農産物などの販売不振の実態と要因を明らかにするため、福島復興再生特別措置法に基づき、同県産農産物などの生産・流通・販売段階の実態を調査したもの。重点6品目には牛肉も含まれており、取引量や価格の推移、流通段階ごとの価格形成事例などが発表された。
これによると、福島県における肉用牛の飼養頭数は、2011〜12年の間にかけて大幅に減少し、その後も減少傾向にあったが、近年は微増となっている。全国でも10〜15年にかけて減少傾向であったが、その後横ばいとなり、近年は微増傾向である。畜種別にみると、11〜12年にかけては交雑種やホルスタイン種、子取り用雌牛頭数が減少。一方で20年以降は、肥育用や育成牛は増加傾向にある。和牛の飼養頭数は、全国平均では10年をピークに減少傾向となったが、17年以降は増加傾向である。福島県では11〜12年にかけて8.8ポイント減少したあとも減少傾向で推移していたが、20年以降は増加傾向にある。肉用牛の総飼養頭数に占める和牛の割合は、震災後、全国平均で横ばいないし微増傾向で推移する中、福島県では09〜12年にかけて17.7ポイント上昇。21年も63.9%と全国平均の50.8%を上回る状況である。
東京都中央卸売市場への福島県産和牛(去勢)の出荷頭数は、震災後、減少傾向で推移し、17年以降はおおむね横ばいの傾向である。また、出荷頭数に占める上位等級(5等級.4等級)の割合は、15年以降80%前後の高い比率で推移している。一方、福島県産和牛(雌)の出荷頭数は、10〜12年度の間、減少したが、その後増加傾向となり、15年度にピークを迎えた。しかし、直近は減少傾向にあり、20年度は10年度の80.1%の水準となっている。
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