東日本大震災からきょうで9年となった。農水省はこのほど、東日本大震災からの農林水産業の復旧の進ちょく状況および復興支援の取り組みについて取りまとめた。農林水産物に含まれる放射性物質の濃度水準について肉・卵(野生鳥獣肉を除く)は令和元年度も0件。先端技術の開発・実証などの支援で撮影装置を活用した肉質評価を行うなど、次のステージに進んでいる。
東日本大震災では、農林業関係で1兆1,204億円、水産業関係で1兆2,637億円、合計で2兆3,841億円の被害が発生。これは、阪神・淡路大震災の約26倍、新潟県中越地震の約18倍。農林水産業の復旧状況は農地が93%、農地海岸が98%、農業集落排水施設が98%、漁船が94%などと進んでおり、主要な排水機場、海岸防災林、木材加工、漁港、養殖施設は100%を達成している。ただ産地市場(被災3県で被災した34施設に対するもの)は79%とまだ道半ばとなっている。
農林畜産物に含まれる放射性物質の低減対策については、畜産物が食品の基準値を超える放射性セシウムを含まないよう、暫定許容値以下の飼料のみを給与するなど適切な家畜の飼養管理を徹底してきた。農林水産物に含まれる放射性物質の濃度水準について肉・卵(野生鳥獣肉を除く)は、令和元年度は0件となっている。実際に行っている原子力被災12市町村の営農再開に向けた支援策は福島県営農再開支援事業、被災地域農業復興総合支援事業、原子力被災12市町村農業者支援事業により、農業関連インフラの復旧、除染後農地などの保全管理から作付実証、農業用機械・施設などの導入支援、新たな農業への転換まで、一連の取り組みを切れ目なく支援していく。
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