第63回農林水産祭の天皇杯受賞者決定、蔵王ファームが天皇杯

 農林水産祭中央審査委員会(伊藤房雄会長)は、令和6年度(第63回)農林水産祭の天皇杯、内閣総理大臣賞、日本農林漁業振興会会長賞の受賞者を決定した。天皇杯、内閣総理大臣賞および日本農林漁業振興会会長賞は、過去1年間(5年7月から6年6月まで)の農林水産祭参加表彰行事(277件)で、農林水産大臣賞を受賞した463点の中から決定される。畜産分野では、(株)蔵王ファーム(高橋勝幸社長)が天皇杯を受賞した。
 蔵王ファームの高橋社長は大学卒業後、民間会社勤務を経て昭和60年に父親が経営する肉用牛生産・加工・流通・販売一貫経営体の牧場部門に入社。暫時経営を引き継ぎつつ規模拡大により黒毛和種繁殖牛512頭、黒毛和種子牛・育成・肥育牛1228頭、交雑種肥育牛1410頭まで増頭(所在地以外の飼養頭数を含む)するとともに、畜産DXの導入、飼料用米やエコフィードをフル活用したTMR飼料の導入などにより安全・安心なブランド牛肉の一貫生産の経営体制を築いた。
 「畜産DX・地域資源フル活用のTMR導入による生産性向上と飼料費の低減」では、飼育牛の全情報をクラウド上で一元管理し、平均分娩間隔12・4カ月、子牛生産率94・9%、和牛上物率99・2%と生産性向上を達成した。また、地域の飼料用米やエコフィードをTMR飼料に調製し飼料費を県平均と比べ3割以上削減した。「徹底した飼養衛生管理とアニマルウエルフェア重視の管理等を通じた全牛ブランド化」では、全農場が農場HACCP(うち1農場はJGAPも)を取得し飼料への抗菌抗生剤・ホルモン剤の無添加に加え飼養衛生管理基準を徹底し、飼育密度を1頭当たり8㎡以上とするなどアニマルウエルフェアを重視した飼養管理などを通じて、全牛ブランド化を達成した。「女性の活躍」では女性役員が新ブランド牛の企画責任を担うほか、女性9人が繁殖や哺育などを担当し、飼養管理法の各種改善により事故率低減を実現する等、貢献している。
 畜産DXを活用した生産性向上やエコフィードなど地域資源をTMR飼料としてフル活用し飼料費削減を図る取り組みは、畜産経営のベンチマークとなる。また、アニマルウエルフェア重視の新牛舎建設やふん尿を用いたバイオマス発電施設の設置など先導的な計画も進んでおり、さらなる発展が期待できる経営体である。

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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