日本養豚学会は26日、今回の主催者を静岡県として、オンライン形式で第119回日本養豚学会大会を開催した。冒頭、大会委員長でもある静岡県畜産技術研究所の吉田慎所長は「昨今の養豚の情勢は、飼料に加え、資材や燃料といったあらゆる物価の高騰、そして豚熱などの家畜伝染病、人手不足と、環境の変化が大きく、それらに素早く対応する必要に迫られている。一方で豚価は比較的堅調に推移しており、養豚経営にとってはプラスになると考える」とあいさつ。
また、農研機構生物機能利用研究部門研究推進部長も務めている美川智会長は、「日本養豚学会は研究だけではなく、産業としての生産.加工.流通を含む養豚全般にかかわる皆さまの情報交換の場となることを大きな目的とする。私の仕事は生産現場からは遠い分野だが、養豚学会で知り合った方がたに情報をもらうこともあるし、今回も大学や研究機関の成果発表のみならず、生産現場に近いところからの発表もお願いしている」と述べた。
初めに、静岡県立農林環境専門職大学の熊崎ひかり会員が「血中遊離L—カルニチン量の低い個体へのL—カルニチン給与が精子性状に及ぼす影響」と題して、研究成果を発表。この内容を受け、若手優秀発表賞に選ばれた。
また、埼玉県農業技術研究センターの「豚分娩前後の外陰部変化による分娩日予測パラメータの検討」から始まり、大野記念病院超音波センター、千葉県農済北部家畜診療所、愛東ファームの共同で「携帯型エコー装置による母豚の早期妊娠診断法の検討」、静岡県中小家畜研究センターと農研機構畜産部門の共同で「窒素を除去する『アナモックス菌』が自生する養豚廃水処理施設における窒素除去能の変動要因」、静岡県中小家畜研究センターの「通常の枝肉取引規格におけるフジキンカの枝肉記録情報」—–と、四つの一般研究発表が行われた。
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