10月からスタートした政府の観光需要喚起事業「全国旅行支援」や、外国人観光客の入国規制緩和によるインバウンド需要の拡大などによる食肉消費回復が期待されたが、現状はまだまだ厳しい。インバウンドに関しては中国の「ゼロコロナ政策」により、主力となる中国人観光客が増えていない。量販店各社の第2四半期決算が発表され始めているが、数字は厳しい。この2年はコロナ拡大時の巣ごもり需要で好調が続いていたが、その反動減によるもの。また、相次ぐ値上げの影響も大きい。一方で、外食需要も回復しておらず、むずかしい状況にある。
和牛については、10月の販売は伸び悩み、11月に期待されているものの、11月もロケットスタートとはなっていない。卸筋は「和牛肉保管在庫支援緊急対策」事業の冷凍在庫を抱えており、仕入れは抑制気味となっている。冷凍在庫は年末の店頭販売用のほか、歳暮用キットなど、幅広く活用される見込みだ。関係者は枝肉相場の上昇タイミングを探っているが、11月の後半から12月の前半にかけてといった見方が強い。例年に比べてやや遅くなりそうだ。乳牛は、と畜頭数が限られている中で、低価格帯の国産牛として全国的にもひっ迫しており、年末まで堅調な販売が見込まれる。交雑牛は、価格は和牛に連動するため高値とはならないが、低価格志向の中で、引き合い自体は強いだろう。輸入ビーフについては、量販店向けにチルドのカタ、モモが売れており、外食向けにはロイン系が売れている。
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