量販店ではゴールデンウイーク以降、精肉部門の苦戦が続いている。まん延防止等重点措置などの行動制限が完全に解除され、業務用需要が徐々にではあるが回復傾向にあること、ネット通販や生協などの宅配事業が堅調に推移していることなど、消費形態が多様化していることも要因の一つだろう。
また、電気代や燃料費など継続的に出費する料金の価格が上昇しており、消費者の生活防衛意識がさらに強まっているため、高単価商品の動きが一段と鈍くなっていること、円安基調で輸入食肉の価格が底上げされており、販売者側が過度な価格訴求を行えない状況になっていることなども複合的に消費意欲を減退させている。8月には一定程度の需要が見込める旧盆商戦が控えるが、おそらくGWでみられたように、都市部と郊外で明暗が分かれることが予想される。気温や天候、コロナの感染拡大状況などの外的要因が与える影響はあるものの、都市部では焼き肉などの需要はある程度外食に流れ、郊外ではバーベキューを含めた内食需要が堅調に推移するものとみられる。
ただ、旧盆が過ぎれば一気に需要が冷え込む可能性が高い。高単価商品の動きは限定的なものとなり、再び頻度品に引き合いが集中することになりそうだ。この2年半で大きく拡大した大容量商品や冷凍商品は落ち着きをみせているものの、〝セカンド冷凍庫〟という言葉が生まれたように、買上点数の減少に影響を与えている。切り落としや小間切れ、ミンチなどの商品は店舗の〝質〟を図る上で重視される商品ではあるが、そこに需要が集中するようであれば単価は伸び悩む。焼き肉やステーキといったハレの日需要の高単価商品を上旬にどこまで売り込むことができるか、8月の業績はそれだけで決定することになるだろう。
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