4月に入り、国産牛枝肉相場が急伸している。大型連休に向けた手当てが入っているのは明らかだが、まだ上旬にもかかわらず、食肉卸企業にとってはかなりの打撃となっているようで、早くも嘆く声がきかれる。和牛肉保管在庫支援緊急対策事業が相場の下支えとなる中、需給バランスの見極めがむずかしい状況である。
連休用の物量確保のために数を集める必要があるが、この高値相場の中では、卸にとって値決め次第では赤字も見込まれる。また、相場の急上昇に対して現在、末端の需要がまったくついてきておらず、在庫消化が進んでいない。
関東の卸によると「コロナの拡大いかんではあるが、このまま順調にいけば自粛の反動で4月末から5月上旬は売れると思う。ただ、懸念は5月の中旬以降。ハレの日は動いても、平月になると国産も輸入もこの高値の中では厳しい。動きは完全に止まると思う」と懸念を示す。4月は、5〜6月を見据えた提案、売り方が求められていくとみられる。
輸入ビーフについては、供給不足により先月末まで枯渇していた豪州産チルドが入荷されたことや、4月から関税が下がったこともあって米国産の供給も改善し、市中在庫は増加した。
ただ今後、大型連休に向けた手当てが活発になることから、これらの在庫もほどなく尽きると見込まれる。また、これまで入船遅れが恒常的に続いていたことから、今後も延着が見込まれる。さらに、現地相場の下げ要因がないことから、仕入高の状況は今後も続きそうだ。
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