EU閣僚理事会はこのほど、スペインとポルトガルが深刻な干ばつにあり、飼料作物などの生育に影響が出ているという両国代表団から提出された報告を発表した。それによると両国では、21年11月以来、降水量が平年を大きく下回って推移し、また、気温も例年に比べて高いことから全般的に干ばつの状態にあるとしている。とくに、南部での土壌水分の不足が作物の生育に影響を及ぼしている。さらに、両国の気象庁は、今後の気象予報として、いずれも降水量が平年を下回る一方で、気温は平年を上回るとしており、さらなる状況の悪化が懸念されている。また、両国のダムの貯水率は大幅に減少しており、ポルトガルでは、水量制限などから灌漑(かんがい)への割当量が例年の3割程度にまで減少しており、飼料作物への影響が危ぐされている。
畜産分野では、飼料生産の減少に加え、エネルギーや肥料などのコスト上昇からすでに生産者は厳しい状況に直面しており、さらに、今後数カ月間は前例のない状況が続くと予想している。このため、とくに、家畜の給水と給餌に関し、干ばつの影響を最小限に抑えるための財政支援などの対策の検討が急務であるとした。
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