幕張メッセで開催されている第46回食肉産業展の食肉情報セミナーが8日に開講され、昨年に引き続き、農水省食肉鶏卵課の伴光(ばん・あきら)課長補佐(写真)による講演が行われた。講演では「食肉の輸出情勢と拡大戦略—牛肉を中心に—」をテーマに、最近の食肉輸出をめぐる情勢、オールジャパンやコンソーシアムの取り組み、輸出促進のための支援策などを説明した。
それによると、食肉の輸出額は2011年以降右肩あがりで伸びている。20年は新型コロナの影響により横ばいであったが、昨年は輸出額570億円に到達し、このうち牛肉は537億円で食肉全体の94%を占めている。
21年の牛肉の輸出量は約8千t(前年比63%増)、輸出額は537億円(86%増)と、ともに過去最高を記録。輸出額全体の約7割がアジア向け(カンボジア、香港、台湾など)である。21年以降は、外食産業の回復に加え、家庭内でも牛肉を消費するなどの内食化の影響も受けたことで、前年比で2倍弱という実績につながった。とくに、カンボジア、米国、EUが2倍以上の伸び率となった。さらに、各国において、和牛を家庭内で消費する傾向があり、Eコマースでの和牛の需要が高くなっている。部位別の輸出量は、比較的にロインの割合の伸び率が高いが、地域差はある。台湾を中心としたアジアでは、薄切り肉の文化が定着しており、鍋などさまざまな部位を消費するため、カタ、モモ、バラなどのロイン以外の部位も輸出されている。一方、米国を中心とした欧米ではロイン率が8割という状況であることから、今後はロイン以外の輸出も伸ばしていくことが課題である。
21年の冷凍・冷蔵の割合は冷凍が56%と冷蔵を少し上回る結果となったが、これについても部位同様で地域差はみられた。カンボジア、香港などは冷凍の割合が高く、EUや米国は冷蔵の割合が高い。これは地域のニーズだけでなく、輸送の面での要件が要因としてある。また、冷蔵牛肉の価格は、フルセット輸出の多いアジアでは6千円程度、ロイン中心の欧米では9千〜1万円程度となっており「牛肉輸出が国内価格・生産の下支えに良い影響を与えているデータがでている。輸出は生産者にとって効果があることを農水省としてしっかり説明していきたい」と話した。
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