自民党の農産物輸出促進対策委員会が25日、党内で開催され「稼げる輸出」に向けた政策提言や農林水産物・食品の輸出の現状についての説明が行われた上で議論の場が設けられた。「稼げる輸出」に向けた政策提言においては、2030年5兆円という意欲的な目標に向け、戦略的な取り組みを早急に本格化する必要があることなどから、提言事項に①加工品輸出に取り組む食品事業者の支援強化②重点市場に向けた「戦略的サプライチェーンの構築」と品目団体による総合力の発揮③戦略的な市場獲得(マーケットインとマーケットメイクを併走)|などを掲げている。
冒頭、同委員会の上月良祐委員長は「農産物輸出は、数ある行政の中でも大変重要なものだ。昨年、当面の目標額である1兆円を超えたが、今後2兆円、5兆円に向かって頑張っていかなければならないフェーズに入っており、それに向け、的確に政策を打っていかなければいけない。産地を守るためにも海外市場を獲得していく。稼ぎたいと思っている人たちに、どうやって頑張ってもらえるような環境や仕組みをつくれるかなど課題は多い。自民党らしく、政府を引っ張っていけるような提言にしていきたい」と述べた。
牛肉の輸出については、25年1,600億円の目標額に対し「国内消費をすべて輸出に振り向けるのか。生産体制や牛の頭数など肥育農家の数や子牛の生産能力など、本当に検証してこの数字を出しているのかが不安」などの声があがった。これに対し、農水省・食肉鶏卵課の高山成年課長は「大変高い目標ではあるが、手が届かない数字ではない。21年11月までの牛肉の輸出額は前年と比べ1.9倍と約2倍近くの増加となっており、輸出に大変勢いがついている。また、和牛をしっかり増頭増産する取組目標として、18年に約15万tの和牛生産量を30万tまで引き上げ、産地をあと押しする。売る努力も民間努力も引き出しながら、産地も輸出する人も一緒に豊かになることをあと押ししていきたい」と回答した。
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