11月後半時点の国産牛枝肉相場はまちまちの展開。勝負のときである12月を目前に、思ったほど高値になっていないという実感を各社が感じていた。緊急事態宣言が解除されて、外食は少しずつ回復してきているものの、逆に小売が弱体化しており、全体のパイは伸びていない。外食も忘年会の予約はあまり入っておらず、コロナ陽性者数の減少が需要増に思うようにつながっていない。とくに昨年の同時期には国の「GoTo」事業でバブルが生じていたが、ことしはこのバブルがないことも低迷の一因となっている。和牛相場は、和牛肉保管在庫支援緊急対策事業が2年目に入り、奨励金がキロあたり150円減の850円となったことも影響しているとみられる。これまで抱えていた保管在庫の使いどきとして、この年末を見込んでおり、新たに枝肉を仕入れるのではなく、いまある在庫を活用することが優先されている。
12月の見通しでは枝肉相場に大きな伸びはみられず、もちあいもしくはわずかな上昇にとどまるだろう。各社の買い集めによる高値傾向がみられない分、マイペースな仕入れが12月後半まで継続し、一定の相場を維持しそうだ。一方、輸入ビーフについては、緊急事態宣言解除前に「品物がない」という情報が広く知れ渡ったこともあって、手当てを急ぐ動きが加速。これに伴ってオーダー数は大きく増加した。しかし、入船遅れの影響もあって、実際に物量が足りず、オーダーに対して対応できない状況にある。このため、先ざきの受注が次つぎと決まっており、年末商戦までの主な手当てはすでに成約済み。商品もないため、年末までにできることはほとんどなくなった。
年明け以降は需要が減少するため、タイトな状況は少しずつ改善するだろう。1月後半もしくは2月以降、徐々に状況が正常化していく見通し。
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