農水省はこのほど、福島県産農産物などの販売不振の実態と要因を明らかにするため、福島復興再生特別措置法に基づき、同県産農産物等の生産・流通・販売段階の実態を調査した結果を公表した。
それによると、同県産品の出荷量は、牛肉などの重点6品目は依然回復していない。また価格については、全国平均との価格差は徐々に縮小しているが、一部の品目では下回っている。一方、納入業者と納入先の認識の相違は、平成30年度調査と比べてやや改善傾向にある。納入業者(仲卸業者)が、納入先の同県産品の取り扱い意向を実態よりネガティブに認識していることについて、国は流通業者などに対して改善に関する指導・助言通知を発出し、周知を行った。その結果、本年度調査では、前年度と比べ仲卸業者において、その納入先の同県産品の取扱意向についての評価がやや前向きとなり、相違の程度はやや緩和された。
和牛の枝肉価格は、震災直後に全国平均との差が拡大した。その後、全国平均との価格差が縮まる動きがみられたものの、近年価格差は定着しており、震災前の水準には回復せず、令和2年度はマイナス13・7%となった。さらに、和牛(去勢)の枝肉平均単価に関しては、震災前は全国平均とほぼ同額で推移していたが、平成23年度にマイナス26・3%まで価格差が拡大した。その後、縮小傾向にあるが、令和2年度は8・2%安値となっている。また、価格差が生じている背景について、そのうち牛肉を取り扱う流通業者からは、「震災後にブランディングや商品開発において遅れ、震災前からのマーケティングの課題が拡大している」との問題があげられた。
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