第45回食肉産業展(千葉県の幕張メッセで開催)の「食肉情報セミナー」で「EU産牛肉&日本食材パーフェクト・マッチセミナー」が10日、行われた。
駐日欧州連合代表部通商部の小林恵・上席通商担当官が、あいさつを兼ねて地理的表示、EPA経済連携協定について説明。続いてフレンチF&Bジャパン(株)の菅沼安尋・ミートプロダクトマネージャー(写真)が「欧州産牛肉の特長と成長」をテーマに講演。最後に「パーフェクトマッチ!レシピ」として東京の新橋駅近くに店を構える人気フレンチ「マルディ・グラ」の和知徹氏による料理提案と試食が行われた。
小林氏はまず「ザ・パーフェクト・マッチ!」キャンペーンについて説明。「EUと日本の経済連携協定の締結を受けて、EU商品を日本に紹介し、需要拡大につなげる」とし、EU食材の三つの特徴を発信しているとした。それは(1)品質(持続可能性に重点を置きながら、生産・流通段階において高品質を維持)(2)本物(伝統をもっており、生産地と独自のつながりを持つ。EUの地理的表示保護制度に保護されているものもあるほか、有機製品も重視されている)(3)安全性(トレーサビリティーだけでなくHACCPにも重点を置いている)—–と説明。またEU製品のメリットは(1)輸入関税の撤廃・削減(2)非関税障壁の撤廃などで貿易の機会が増える(3)地理的名称が日本市場でも保護される—–とした。そしてHACCPについての管理、食肉のホルモン剤の使用禁止、持続可能な生産への取り組みなど「EU製品のストーリー性が販促活動として非常に大きな材料」と強調した。
続く菅沼氏は、飽和産業と思われがちな食品産業のブルーオーシャンが欧州産牛肉だとし、「赤身で軟らかい」という点が豪州産、米国産、和牛とバッティングすることがないポジショニングと述べた。アイルランド産熟成牛肉やミルクフェッドの子牛、地域の特性を生かした牛肉を使うことで赤身でも軟らかく食べられるとした。また昨年、厚生労働省の食事摂取基準が5年ぶりに変わったことを受けて「これまでは『食べるな』ばかりだったが、大きく変わったのが『タンパク質を取りなさい』ということ。日本ではタンパク質である肉を食べる文化は増えており、見直されている」と強調した。
最後の和知氏によるレシピは、日本のだしと春野菜と熟成肉の風味を合わせた「アイルランドビーフと春キャベツのアンサンブル 芹のカレー風味ソース」と、欧州食材を散りばめて日本のふきのとうと合わせた「イタリア産子牛の片面カツレツふきのとうのヒストゥーソース」を提案した。