2018年に岐阜県で国内26年ぶりに豚熱(CSF)の発生が確認されてから、9月で2年が経過した。その後、中部地方を中心に沖縄や関東でも感染が確認され、国は発生から1年後の昨年9月にはワクチン接種を開始。現在も野生猪での感染は散発的に発生しているものの、豚の発生は抑えられている状況だ。ただ、野生猪による発生が確認される限り、ワクチン接種は継続して実施される。
また、発生から2年間の猶予期間が経過したため、OIE(国際獣疫事務局)による日本のステータスは「清浄国」でなくなった。近年はアジアを中心に日本産豚肉の輸出も拡大傾向にあり、年間で約2千tの豚肉が海を渡っている。「清浄国」でなくなっても、これまでの主要な輸出先である香港、マカオ、シンガポール、タイなどは理解を示しており、引き続き輸出は可能だ。米国やEUなどへの新たな市場開拓に向けては「清浄国」のステータスを失ったことは大きな痛手だが、国内の養豚産業を守るためにはワクチン接種は不可欠だったといえる。
もちろん、早期の「清浄国」復帰が望まれるが、野生猪における発生についてコントロールすることは非常にむずかしく、長く険しい道程となる可能性もある。
一方、世界的に新型コロナウイルスによるサプライチェーンへの影響は落ち着きつつあり、北米などの供給体制も大きく回復している。「ウィズコロナ」の中で安定供給を図る行政や業界団体、企業の努力もあり、一時期のような混乱は感じられない。
そうした中、9月10日、ドイツ・ブランデンブルク州で野生猪からアフリカ豚熱(ASF)の発生が確認された。これを受け、農水省では9月11日付でドイツからの輸入を一時停止。ドイツは欧州最大の豚肉生産国であり、日本市場でも輸出国として年々伸張しているが、どの程度の影響をもたらすのか、懸念が広がっている(続きは食肉速報に掲載)
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