全国食肉事業協同組合連合会はこのほど、 農畜産業振興機構(alic)の助成を受け、令和6年度食肉流通経営体質強化促進事業の一環で「活力あるお肉屋さん 顧客満足度を高める店舗展開に向けて」と題した冊子を発行した。活力ある店舗作りの優良事例を収集・調査した内容で、全国各地の食肉専門店の中から、優れた商品開発や販売促進の取り組みを行う事例として、10店舗が紹介されている。
第1章「成功のヒントを深掘りする!」では3件の成功事例をピックアップ。宮城学院女子大学の安部新一名誉教授の調査では、「肉はナカノ アミ店」(福井県)を取り上げている。一頭売り切りを狙う専門店ならではの多様な商品作り、肥育期間延長による食味の向上などついて、その詳細を紹介する。
東京農業大学の野口敬夫教授が調査したのは、「中出精肉店」(石川県)。「こだわりの焼豚」をはじめとするオリジナリティーにあふれたアイテムの開発が特長で、“本当においしいもの”を追求した食肉専門店だ。
宇都宮大学の神代英昭准教授による「九戸屋肉店」(岩手県)の調査についても掲載。地元との間に結ばれた強い信頼関係の下、食肉販売の豊富な経験を持つ店主が、地元産の食肉を活用しながら店舗を運営している。
また、第2章「全国のお肉屋さんサクセスストーリー」では「小曽根精肉店」(栃木県)、「綿引肉店」(群馬県)、「まるぜん精肉」(富山県)、「いがや」(京都府)、「肉匠 伊勢屋」(和歌山県)、「肉の大本 岡山店」(岡山県)、「ミートクレスト 中央市場店」(大分県)—の計7店舗を取り上げている。さまざまな地域の特性に基づく店舗運営、各店ごとに異なる販売方法の強みなどから、成功の秘訣を探る内容。
いずれの店舗も、社会情勢の変化に適応しながら独自のスタイルで経営を続け、より多くのお客により良い商品を届けることに尽力。需要の動向にも目を向けながら、アイデアに富んだ総菜・加工品の開発、SNSやイベント出店を通じた宣伝活動など、販売促進、販路拡大に努めている。この冊子は、そのような店舗展開のヒントが詰まった一冊だ。
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