豚肉マーケット展望ー出荷頭数減、スソ物中心の荷動き続く

 昨夏は猛暑により、生育の不振や種付不良が起こり、出荷頭数に大きな影響を与えたことは記憶に新しい。今年も全国的に気温が上昇しており、関東でも梅雨入りを前に30℃を超える日が続いている。今夏も昨年同様、猛暑となることが予想されており、生産や需給への影響も懸念されるところだ。
 また、5月下旬から今月上旬にかけて、岩手、栃木、佐賀と各地で豚熱が発生。豚の出荷サイクルでいえば年間で最も少なくなる時期だけに、今後さらなる発生が続くようなことがあれば、一気に需給バランスが崩れ、相場を押し上げる可能性もある。
 農林水産省の肉豚生産出荷予測(5月22日発表)によると、6月は130万9千頭(前年同月比1%減)、平年並みと予測しているが、実際の数量については下振れすることも大いにあり得そうだ。
 一方、梅雨を前に需要自体は低迷する時期に入ったこともあり、末端消費は決して芳しくない。昨年からの度重なる食品などの値上げにより、消費者の節約志向は依然として根強いものがある。ロースやヒレなどロイン系、さらにバラやカタロースなども含めて中部位の荷動きは全く良化してこない。半面、ウデやモモ、スネなど安価な部位に需要が集中。さらに大貫物も引き続き高値となっている。
 枝肉相場は一時800円を超える相場展開となっていたものの、6月第1週の後半に急落。600円台半ばまで下げ、一気に200円近い下落となった。実需よりはるかに高い相場が続き、高騰する枝肉相場に末端の荷動きはついてきておらず、「いつ下げに転じるか」が焦点になっている面もあった。とはいえ、今週に入って上中価格差は縮まっており、枝肉相場は再び上昇基調で推移している。
 国内では頭数減の状況が続いているが、輸入物についても全体的に在庫水準は低く、タイトな需給となっている。現地の生産遅れや入船遅れの影響は一時期に比べると緩和されているものの、外貨高もあり、積極的に買い付けを増やしていけるような環境にはない。

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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