牛肉マーケット展望ー年末まで和牛潤沢、ストのため豪州産逼迫

 総務省がこのほど発表した、ことし9月の家計調査によると、1世帯(2人以上)の消費支出金額は前年同月比2・8%減となった。7カ月連続の減少で、「食料」は3・7%減だった。
 国内の末端の販売動向をきくと、量販店は昨年までのコロナ期の反動減や、物価高に伴う節約志向を受けて、ことしは不調。外食産業では、思ったように回復していないという意見が多くきかれる。一方、牛肉輸出については回復してきた。
 国のクラスター事業の成功もあって、平成29年以降、黒毛和牛の出荷が伸びているほか、ことし上半期の相場安を受けて出荷の先送りがみられたが、そうした保留牛の出荷も順次行われていることから、頭数は潤沢だ。
 このため、流通側では荷余りしている状況。相場安で和牛5等級が買いやすくなり、4等級を買うメリットが薄まったことで、5等級よりも4等級の相場が大きく下落している。
 年末まで潤沢な頭数に支えられる見通しであることから、年内の相場は安値傾向となる見込み。しっかりした販売先を保有する卸売業者にとっては、低価格で仕入れられるチャンスの時期となっている。
 11月は12月の消費に向けて買い控えもみられており、引き続き荷動きは鈍そうだ。その分、12月の消費は回復してほしいところ。過去3年間のコロナ期は、ハレの日需要が伸びた。コロナ前のハレの日需要は、個食化傾向もあって伸び悩んでいたが、コロナ期では、自粛が促されたことでイベント時でしか集まることができず、ハレの日需要が回復したようだ。
 ことしはアフターコロナが浸透しているとはいえ、コロナ期の生活習慣が残り、ハレの日需要は引き続き強いとみられる。相場を生かした販売が期待できる12月となりそうだ。

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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