量販店の多くは9月に売り場を秋冬仕様に切り替えたが、9月は30℃を超える日も多く、鍋物商材の荷動きは芳しくなかった。節約志向が依然高い中、葉物野菜が全体的に高値だったことも影響したとみる担当者は多い。
旧盆商戦以降、売れ行きが鈍化するのは例年のことであり、特段の驚きはないものの、この先も継続する物価上昇や電気・ガソリン料金などの高騰を受け、年末に向けても先行き不透明感はこれまで以上に強い。週末を中心に天候が荒れる地域が多かったことも消費の伸び悩みにつながっている。
9月後半からはようやく朝晩に限って気温が低下してきたこともあり、徐々に鍋物需要も好転。多くの企業が年間強化商材として焼き肉カテゴリーの拡販に努めていることや、バーベキュー需要が遅れて動き始めたこともあり、一気に入れ替わりが進んでいるわけではないが、用途別の構成比は徐々に変化し始めている。
こうなると、これまでも指摘してきたことではあるが、牛肉、とくに単価の張る和牛の動きは鈍化する。近年、鍋スープメーカーは食肉でいえばメインの具材を豚・鶏肉と想定しており、低価格志向を意識して肉団子やつみれ、ウインナーなど調理・加工食品も提案。鍋物商材のシェアが拡大するのに連動して牛肉が選択される機会は減少する。
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