AI活用のカラス対策「音響スナイパー」開発—JA全農

 JA全農は27日、ヒトとカラスの共生のためのまったく新しい撃退法を利用した、カラス対策商品「音響カラススナイパー」を開発し発表した。
 カラスは人になつくほど知能が高いことが知られている人にとって身近な動物である。しかし、ゴミ置き場を荒らしたり、農作物を荒らしたり、まれに人を襲うこともある。このようなカラス被害は多く報告されており、たとえば、国内の農作物被害額は鳥獣害被害額約161億円のうち、約14億円がカラスによる被害と言われている。これは、鳥類では最大の被害額とされている。
 農業や食品の分野では、カラス被害が深刻であったことを受け、対策を考えることになった。従来のカラス対策商品はネットやテグスなどの物理的な資材や忌避音を発する装置がほとんどで、前者はすき間なく設置することで高い効果を得られるが、現実は人の作業の妨げになることが多く、少しのすき間からカラスの侵入を許してしまう。一方、後者は物理的な遮断を徹底する必要がなく、多くの場所で簡便に設置が可能だが、装置のほとんどが赤外線センサーやタイマーで制御されている。センサーはカラス以外の人や葉っぱにも反応し、知能の高いカラスは驚異を感じなくなってしまう。
 これらを踏まえ「簡便に設置でき、カラスがきたときにだけ忌避効果の高い忌避音を発する装置をつくりたい」という思いから、技術力のある画像AI開発スタートアップ会社の協力を得て「音響カラススナイパー」を開発。同製品は、AIカメラにより、飛来のタイミングでピンポイントに発音することでむだのないカラス防除を実現させるほか、飛来数の記録、飛来動画を自動取得し、データのみえる化が可能となっている。また、狙い撃ちされていることをカラスに認識させることで効果の持続にもつながる。
 今後、テスト販売を通じて主に自治体(市街地)、食品製造分野、物流分野などに提供を開始。本格販売は来年4月以降を予定しており、1セット(AIボックス、カメラ、スピーカー)150万円前後(設置作業費別途)で販売予定だ。

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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