下半期の牛価予想ー全体に前年下回る、相場上昇スローペース

 ことしも引き続きコロナに振り回される年となっている。重症化率は減少しているが、22年のコロナ陽性者数は、21年とは比較にならない数で推移している。これに伴う飲食店や旅行のキャンセルは計り知れず、経済への打撃は非常に大きい。飲食店では「まん延防止等重点措置」が解除されて以降も客数の回復が限定的だったため、景況は悪いままだ。
 相場面では、コロナに伴う相場急落対策として実施されている「和牛肉保管在庫支援緊急対策事業」が相場を下支えしてきたが、事業者によると、過去2年の申請数が多かったことから本年度に実施可能な量はわずかにとどまる見込みで、これがことしの相場低迷の大きな要因となっている。
 ことし1月から5月までの東京市場の和牛去勢A5等級の月間平均価格は、いずれも前年を下回った。とくに厳しいのが4月の2,688円。5月の大型連休前である4月の価格は、年末の相場を占う重要な指標であり、その意味ではこの先も厳しい数字となる可能性が高い。大阪市場のA5相場は近年、東京市場相場を上回ることが多く、東京に比べて引き合いの強さが感じられるが、食肉相場を取り巻く状況としては東京と同様といえる。乳牛については、ことしはおおむね前年並みの出荷頭数で推移している中で、輸入ビーフの代替需要が高まっているため、引き続き堅調な需要が予測される。交雑牛も、輸入ビーフの供給減少に加え、全国出荷頭数の減少と和牛の代替により、食品スーパーでの取扱構成比も高まっている。ただ、ことしは和牛相場の下落と、出荷頭数の伸びに連動してB3等級、B2等級の価格が前年から100円程度下落している。景況感や出荷頭数予測からみても、この先、大幅な高値になることはないだろう。
 下半期の国産牛枝肉価格の見通し(去勢)は、前述に加え上半期の価格が前年を下回ったことなどを踏まえ、下半期も全体的に前年を下回るとみる。
 8月前半は旧盆商戦向けの手当てがあるとしても、再び拡大したコロナの影響を大きく受け、期待されている連休中の行楽需要や帰省需要も限定的になるとみる。さらに盆明け以降の需要減退を受けて後半は下がると考え、和牛A5は2,550円とみる(続きは食肉速報に掲載)

※当ページに掲載している記事はいずれも日刊「食肉速報」からの抜粋です。詳細は本紙でお読みいただけます。 >>「食肉速報」を今すぐ申し込む



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